広場恐怖症(パニック障害)
について
広場恐怖症
広場恐怖症とは、不安障害の一種で、地下鉄やエレベーターなどの逃げ場がないと感じる場所で、強い不安や恐怖を感じる病気です。広場恐怖症は、特定の環境や状態と不安が結びつくことが特徴です。こうした不安が少なくとも6ヵ月以上続くことで、広場恐怖症と診断されます。
パニック障害
パニック障害とは、広場恐怖症とは異なり、特定の環境や状態にあるかには関わらず、不安や動悸などの身体症状が繰り返し現れる病気です。パニック障害では、激しいめまいや動悸、手足の震え、発汗、吐き気を伴うパニック発作を起こすことがあり、発作が激しい場合は、その場で倒れてしまうこともあります。またパニック発作が起こるのではないかという不安(予期不安)から、外出できなくなってしまったり、仕事を続けることができなくなることもあります。パニック障害は、これらの状態が1ヵ月以上続きます。
広場恐怖症(パニック障害)は
何人に1人なる?
広場恐怖症は、100人に1.2人くらいの割合で起こるとされており、特に女性や10代後半から20代前半の若い世代に多く見られます。広場恐怖症は、遺伝的要因と環境的要因の相互作用によって発症するとされており、社会の複雑化やストレスの増加を背景に患者数が増加しています。
予期不安
パニック発作は、生命の危険を感じる程恐ろしいものであるため、またパニック発作が起きたらどうしようという不安や恐怖心(予期不安)を抱えてしまいます。パニック発作を繰り返さなくても、この予期不安が1ヵ月以上続く場合は、広場恐怖症(パニック障害)と診断される可能性があります。一方、広場恐怖症の場合は、予期不安がきっかけとなって、特定の環境や状態を避けるようになる、行けなくなるというのが主な症状になります。予期不安は心の弱さなどではなく、心のメカニズムから起こる障害の1つであるため、適切な治療を受けることが必要です。
広場恐怖症(パニック障害)
の原因
広場恐怖症の原因は、過去の恐怖や嫌な思い出から精神的に強いストレスを受けることで、自律神経が乱れることであると考えられています。一方、パニック障害の原因は、明らかにはなっていませんが、近年の研究から、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れ、特にセロトニンとノルアドレナリンが大きく関与していると考えられています。広場恐怖症もパニック障害も遺伝する病気ではありません。
広場恐怖症・パニック障害の症状
広場恐怖症の症状
広場恐怖症の症状は、逃げ場のない特定の環境や状況に対する恐怖で、恐怖から似たような環境や状況を避けるようになります。また、1度でもパニック発作を起こしてしまうと、加えてパニック発作を起こした環境や状況を避けるようになってしまい、だんだんと避ける環境や状況が増え、やがては外出ができなくなってしまうこともあります。
パニック障害の症状
パニック障害の症状は、突然の激しい不安や恐怖に加えて、動悸(強い拍動、頻脈)、発汗、手足の震えの症状が現れます。感覚症状として、呼吸が困難になり窒息するような感覚、吐き気や胸をかきむしるような感覚があったり、現実感のない自分が自分から離れてしまっているような感覚(離人症)、死んでしまうかもしれないという恐怖症状が数分でピークを迎え、最低でも数分以上続きます。
広場恐怖症(パニック障害)
の治療
広場恐怖症(パニック障害)の治療は、基本的にはどちらも同じで、薬物療法と認知行動療法などを併用して行います。薬物療法では、抗不安薬と抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を併用し、パニック発作や強い不安を改善していきます。