過換気症候群(過呼吸)

過換気症候群(過呼吸)とは

過換気症候群(過呼吸)とは過換気症候群(過呼吸)とは、不安や緊張などの精神的なストレスが原因となり、激しく息を吸ったり吐いたりするのを繰り返すこと(過呼吸)によって起こる様々な病気のことです。通常、人間は呼吸によって酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を体外に吐き出して、体内の酸素と二酸化炭素のバランス、血液中の酸・アルカリのバランスを取っていますが、過換気症候群になると、血液中の二酸化炭素の濃度が低下し、血液がアルカリに傾きます。これによって血管が収縮したり、血液中のカルシウム濃度が低下することで、様々な症状を引き起こします。過換気症候群は女性の方が男性に比べて2倍程度多く発生しており、特に若者に多く起こります。

過換気症候群(過呼吸)の原因

過換気症候群(過呼吸)の原因は、不安や恐怖、緊張などの精神的なストレスです。そのため心配性な人や、几帳面な性格の人など、これらを感じやすい人は過換気症候群を起こしやすいとされています。また、激しい運動をした後や、疲れがたまっているとき、睡眠不足のときなどは、精神的なストレスに加え、肉体の疲れが引き金となり、過換気症候群を起こすこともあります。

ストレスで過呼吸になる?

ストレスで過呼吸になる?過換気症候群(過呼吸)は、まず精神的なストレスによる自律神経への影響によって早く浅い呼吸の状態になり、息苦しさから、もっとたくさん空気を吸わなければという焦りや恐怖を感じ、さらに呼吸数が増えることで起こります。そのため、安心感を与えて、呼吸を整えることができれば自然と症状は治まります。

過換気症候群(過呼吸)の症状

  • 過呼吸
  • めまい
  • ふらつき
  • 失神
  • 頭痛
  • 動悸
  • 胸痛
  • 不整脈
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 発汗
  • 口の渇き
  • しびれ
  • けいれん
  • 硬直

など

これらの症状は、主に2つの症状が増幅しあって発展していきます。

  • 過呼吸による過換気症状
  • 不安による交感神経症状

過呼吸は、身体の病気が原因となって起こることもあるため、油断はできませんが、多くの場合は精神的なストレスが原因となって起こります。
ストレスが原因になる過呼吸は、不安による交感神経症状によって始まり、呼吸が苦しいことによる過換気症状によって不安がさらに強まり、交感神経症状がさらに強まることを繰り返して、症状が起こるようになります。

うつ病で涙が止まらないと「過呼吸」になる?

過換気症候群(過呼吸)はうつ病やパニック障害などの症状として起こることがあります。うつ病によって脳内のホルモンバランスが崩れると、今まで気にならなかったことまで敏感に感じるようになり、それによってこころのバランスが崩れたり、感情のコントロールができなくなり、ちょっとしたことでも涙がこみ上げてしまうようになります。長時間泣いたり、激しく泣いてしまうことで、何度も息を激しく吸ったり吐いたりし、過換気症候群の状態を引き起こすことがあります。

うつ病

過換気症候群(過呼吸)の
検査・診断

過換気症候群(過呼吸)に一定の診断基準はありませんが、過換気症候群に適合した症状があり、過呼吸状態の改善で症状が速やかに治まること、動脈ガス検査で血液中の二酸化炭素濃度が低下しており、アルカリに傾いていることなどから診断を行います。また、過換気症候群のほかにも、気管支喘息や肺血栓塞栓症、気胸、大動脈解離など、類似の症状を引き起こす病気がたくさんあるため、診察や血液検査、画像検査などからこれらの病気でないことも判断します。

過換気症候群(過呼吸)の治療

過換気症候群(過呼吸)の治療過換気症候群(過呼吸)の治療では、不安を低減し、リラックスさせるために横隔膜を用いた腹式呼吸を行うように指導し、症状の改善を図ります。それでも症状が改善しない場合は、抗不安薬や内服の点滴を行います。過換気症候群で亡くなることはありませんので、まずはご安心ください。

過換気症候群(過呼吸)は、
どれくらいで回復する?

過換気症候群(過呼吸)は、多くの場合で30~60分程度で自然に回復します。不安症状が強いと回復時間が長くなる可能性がありますが、過呼吸の発作自体は10分程度で治まることが多く、長くても30~60分程度で治まることがほとんどです。

過換気症候群(過呼吸)の予防

過換気症候群(過呼吸)は、不安を感じやすい、感情が不安定になりやすい人に起こりやすい傾向があり、好発年齢(発症しやすい年齢)があるなど、パニック障害と共通点が多いです。また、パニック障害の症状として過換気症候群を起こすこともあります。そのため、パニック障害をはじめとした不安障害、うつ病などの精神疾患を持っている場合は、それらの治療を行うことで、過換気症候群の発症予防に繋がることがあります。また、過換気症候群を起こした場合は、ゆっくりと息を吐く呼吸を心がけることで、その後の過換気症候群を予防することができます。

過換気症候群(過呼吸)
になったら、何科に行くべき?

過換気症候群(過呼吸)を起こしたら、まずは内科を受診し、呼吸器系の異常がないかを診てもらいましょう。そして身体異常が見つからなかった場合は、心療内科か精神科を受診してください。何度も過換気症候群を繰り返す場合は、精神疾患が原因となっていることが多く、その場合は精神疾患の治療を行わないと、過呼吸は改善されません。